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2020-08

ただいま、モガの村。

MH3G002

「ヴォル、そろそろ帆をおろすゼヨ!」

「うん!手伝うよー。」


船首で大の字になって空を泳ぐ海鳥を仰いでいた僕は、船長の号令で跳ね起きた。
船員たちより先に、一目散にメインマストを駆けあがる。
ヤードまで登ると、視界に入った絶海の孤島の舳先に、ぽつりと浮かんだ“村”が見えた。
豊かな森と海に囲まれ、漁を中心に生活を営む小さな漁村。そして僕の第二の故郷。
グレーのスカラーフードを脱いで、少し伸びた髪を風にさらす。潮風が僕の頬を優しく撫でる。

「ただいま…。モガの村。」
荷降ろしを手伝いながら船を降りる。
幾重にも古木を組んで作られた村の“地面”に足を踏み入れると軋む音が僕の心を和ませた。
海だけではなく森の風や匂いが感じられるこの場所はいつも空気が透き通っている。
帰ったきたんだ。ここに。

「お主、もしやヴォルか?」

「うん。ただいま、じぃちゃん。」


村長

キセルを銜えた隻眼の老人が僕に話しかける。
彼は少し驚いた顔を覗かせたと思うと、豪快に膝をぱちんと叩いて気持ちよく笑った。
僕のハンター、そしてガンナーとしての成長を一番傍で見守ってきたモガ村の村長だ。
悪いものを何もかも吹き飛ばしてしまう太陽の様な笑顔は今日も晴れやかだった。
 
「カッハハハハ!見違えたな、随分と逞しくなった。」

「そおかな?砂漠の熱さで肌は焼けたねー。」

「うんむ。背も少し伸びたんじゃないか?」

「えへへ。」


MH3G001

村の奥に目をやると、白い布に包まれたコンテナのような大きな箱の上に、
村長のセガレの姿があった。(箱の中身が気になるぜ…。)
基本的に村の運営は彼が切り盛りしていて、今日も運ばれた交易品を帳簿を見ながら検品している。「おーい」と手を振ると、「おーい」と応えた。箱の傍に積み荷を降ろし、握手を交わす。

セガレ

彼はこの村にきて初めて出来た友人。
共に狩りに出ることはないが、ベースキャンプの再建や足りない資材の調達は彼がすすんで
請け負ってくれた。僕の心強い味方だ。
(余談だが、彼はたまに口癖で「クレイジー」と言う。一体どんな意味なのだろうか…。)

「あれ、チャチャは?」

「うんむ。ちびすけは旅立ったよ。
今こそ最高のお面を手に入れてやるっチャと言ってな。」

「…そうなの。なんだ、お別れくらい言えばいいのに。」

「そう気を落とすなよ。なぁに、ちびすけのことだ。事が済んだらまた顔を見せるだろう。
さぁ、荷物を置いてこい。看板娘がお待ちかねだぜ。」

「うん、わかったよ。」


村に借りている部屋に寄って、荷物をキルシェに預ける。
キルシェはギルドから派遣されたルームサービルアイルー。
「ニャニャニャのニャ!」と言って僕の身の回りのことは全てこなしてくれる。
いつもお世話になりっぱなしだ。都会で言うところの「ヒツジ」というやつだろうか?
(あれ、なんかちがうような…。)
キルシェは「頑張ってくださいニャ!」そう僕に声をかけ、深々と頭を垂れた。
僕はこの言葉の意味を、まだ真意に理解してはいなかった…。

部屋を出て一通り挨拶を済ませて、カウンターに向かった。
この村の小さなギルド。看板娘・アイシャが待っていた。
彼女はいつものように肘を付いて大きなノートに筆を走らせていた。
遠くから見ると書き込み過ぎて真っ黒。何が書いてあるのか僕には読めない。
まぁ大部分は白紙のページのままなんだけどね。

「誰だ!? …あ、何だ、ヴォルさんか」

「やぁ、アイシャ。相変わらず元気いっぱいだね。」

「それだけが取り柄ですからね!(えっへん)」

「いや、威張られても。」


アイシャ

目の前のふくれっ面の看板娘と呼ばれる女の子は、ギルドの仲介役。
一見、おちゃらけて見えるけど彼女の仲介役としての仕事はぶりはとても信頼できる。

モガ領の狩場がいくら自然に恵まれているからといってもギルドの支援がなくては狩猟などできない。観測所やギルドガードの事前調査。ネコタクアイルーの派遣。支給品の援助。ベースキャンプの設営。例え自力で狩場に赴いて、標的のモンスターが補足出来たとしても、一度でも力尽きてしまえば絶命することは必至。縦しんば討伐、捕獲できたとしても、素材の輸送や解体はプロでなければ難しいし、ギルドに見つかれば密猟とみなされ厳しい処罰が待っている。
一言で狩りといってもハンターだけではできることは僅かなのだ。

こういった理由でギルドの支援は欠かせないのだが、絶海の孤島・モガの村に入ってくる情報はとても少ない。そこで彼女はギルドの支部がおかれる街に自ら赴き、人脈を築いて独自のルートで依頼をかき集めて、村のギルドを設立、運営している。とてもじゃないが、僕にはできそうな仕事ではない。あぁ、そうそう。この話は村長がこっそり教えてくれたんだ。アイシャには秘密だよ?

「ヴォルさん。肌が浅黒くなったから“白狼”じゃなくて、“黒狼”ですね。」

「あっはっは!陽で焼けたけど髪はもっと白くなっちゃったんだけどね。
さて、大事な話っていうのは?」

忘れてました。それがですね…。」


忘れるなよ…。
そう、今回の帰省は彼女から呼び戻されてのことだった。
「ギルドからの重要な通達があったのでそれを伝えたい。」
そう記された便りが、ロックラックにある僕のゲストハウスに届いていた。

「実はこの度、新しい狩場の拠点が拓かれたんですっ!」

「おぉ。どこなの?」

「ふふふ。知りたいですか?知りたいですね?
そうか、そうですか。ならば心して聞くがよいですよ!」

「はよいえ。」

その名もタンジアですっ!


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