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2020-08

双界の招待。

マイルーム

―ぼるる!目を覚ますっチャ!―
―ぼるる!目を覚ますっンバ!―

「……!?」

僕はその声に導かれるままに上体を起こし、跳ね起きた。

ハート形の心臓が、まるで激しく胸を打ちつける鈍器のように動悸し、呼吸を乱している。
全身から吹き出した冷たい汗がシーツまでびっしょりと濡らしていて、
普段は心地のよいはずの窓辺(全開)からの潮風が肌に突き刺さった。

ふと視線を下に落とすと、ベッドの上(僕の上)で慌てふためいて暴れていた
チャチャとカヤンバが床で弾んでいる。

「どうしたのチャ?長いことうなされていたっチャ。」

「ンバ。ベッドの上で苦しそうに暴れていたっンバ。」

奇面族の二人が、心配そうな顔をお面越しに覗かせる。
タオルを手に駆け寄ってきたキルシェも泣きそうな顔だ。
ここは、モガ村の自室のベッドの上。

そうか……、あれは夢。

不気味な悪夢からの帰還にホッと胸を撫で下ろすが、
淡く滲んだ断片を思い出すと、その奇妙さに腹の底から悪寒が走る。

「ありがとう、みんな。悪い夢を見ただけさ。
 ごめんね、心配かけちゃって。」

潮の香りがほのかに漂うタオルで顔を拭ってから、似た背の丈の頭を三つ撫でて微笑う。
キルシェは安堵の色を覗かせると、いつものように「ニャニャニャノニャ!」と言って頭を垂た。
チャチャとカヤンバもふぅと息を漏らしていつもの調子に戻ったようだ。

奇面族


「べ、別にオレチャマはオマエなんか心配していないっチャ!」
「…そうっンバ!オマエはワガハイ達のオトモなんだから、
 何かあったら大事なお面探しに支障が出てしまうっンバ!」
「チャパ~!その通りっチャ!」
「……ンバ?むしろオトモを心配してあげるワガハイってば優しいっンバ!
このワガハイのハートの広さ!最高マックスなのンバ~!」
「……!!なにを言うっチャ!しぶしぶ心配してあげれる、オレチャマの心の広さ!
やっぱり、オレチャマの心こそが最高なのチャー!」

何を競ってるんだおめーらは。
でも結局は心配してくれたのね、ありがとう。
二人の声がなければどうなっていたのだろうか…。
そんな思いが過るが、考えるのはやめておいた。

オレチャマが!ワガハイが!と小煩くじゃれ合う二人を横目に。
僕は冷たく湿ったインナーを、悪夢の残り香ごと脱ぎ捨てるかのように、
キャンバス地のランドリーバッグに放り込み、キルシェが用意してくれた新しいものに着替えた。

忘れよう…、今日は今日の狩りがあるのだから。
そう自分に言い聞かせて、そのまま猟装をボックスから取り出した。
最近仕立てたばかりのお気に入り、
桜火竜の革であしらったジョッパーズパンツとジャケットを腰に纏う。
うんむ、ばっちり!続けてシャツのボタンを留め、
ベレーを被ったところで、ドア(全開)をノックする音が聞こえた。

「……アイシャ。つかぬことを聞くが、どこから視てた?」

「…ヴォルさんがベレーを被ったとこからですが、何か? むっふっふ…。」
アイシャ
部屋の入り口に敷いた四角いマットの上に立っていたのは、
我が村の看板娘、兼仲介役のアイシャだった。
いつもながら満面の笑顔だが、今日は特に目が笑っていた。

「…まぁいいや。今日はまた早くから何の用だい?」

「おっと、すっかりちゃっかり忘れてた!決まってるじゃないですか!
 ほいっ!モンスター討伐依頼到着ですっ!」

「…はいはい。今度の獲物はなんだい?」

「フッフッフ…。
 ヴォルさんは白海竜を狩猟し、今ある村のクエストもすべてクリア!
 そう、ヴォルさんは、村のみんなが認めるハンター!
 その実力は、もっともっと村の外にも知れ渡るべきなんです!
 なので、私はヴォルさんのあることないことをギルドに伝えました。
 フッフッフ……あることないことをね……。」
 
「おい。」

「そしたら引っかかってくれました!
 その実力を見たい、さらなる試練を与えたい…、
 という依頼者があらわれてくれたんでーす!」


「…ふぅ。(ため息) あい、わかった。
 準備を済ませたらすぐ行くよ。カウンターで待ってて。」

不気味な笑いを浮かべながら立ち去るアイシャに手を振り、
丸太の椅子の腰掛けテーブルに着いた。
キルシェが入れてくれたホットミルクを啜って一息入れる。
まったく…、あることないことってなんだよ。まぁそんなのはいつものことだ。
それはさておき、一体どんな狩猟依頼なんだろう。
さらなる試練か……、“試練”?

「なんだか嫌な予感がするな……。」

キルシェに礼を言ってから準備を済ませ、重弩・ナバルフラーテルを担ぐ。
未だに言い争っているチャチャとカヤンバの首を
子猫を掴むように持ち上げて、僕はカウンターに向かった。

…僕の予感はこの後、的中することとなる。
夢の白装束の竜人がもたらした“試練”が、そこに待ち受けていたのだった…。

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